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(3)TSLの導入に向けての課題
?.高速荷捌きシステムの開発促進
所要時間の推定にあたっては、荷捌き・積み卸しのために要する時間は2時間と設定した。実際には貨物のターミナルヘの到着は順次行われ、TSLへ積み込むまでの待機時間が生じ、TSLの高速性の魅力を減じる要因となりがちである。したがって、高速荷捌きシステムの開発により、ターミナルにおける積替作業のスピードアップを図ることが必要である。今までの港湾ターミナルにない新しい発想の荷捌きシステム、具体的にはターミナル施設・作業が必要となる。
?.物流業者、荷主等との情報ネットワークの構築
TSLを用いた貨物の輸送時間を短縮させるためには、貨物集配のための情報ネットワークの構築やスケジューリング等、ソフト面からも総合的な輸送時間の短縮方策の検討を進める必要がある。
帰り荷についても運航ダイヤに合わせ、相手先の港湾において貨物が準備されている必要がある。運航先のTSLターミナルと連携し、相手港湾の背後圏の物流業者、荷主等との情報ネットワークを連結し、貨物情報・運航情報をリアルタイムで交換することが必要となる。
?.ニーズを反映させた夜間運行等の弾力的な輸送スケジュールの検討
松山港の場合、特に南関東ルートにおいては、幹線道路を迂回することになり、スピードの面ではトラック輸送に比べて明確な強みを持たない。しかしながら相手先の選定、TSLの夜間運航等の弾力的な運用により、午後集荷、夜間ふ頭着、深夜出航、翌朝早朝着といったスケジュールが設定できれば、トラック輸送等とサービス面で対抗することもできる。
?.外貨コンテナターミナルの整備促進
松山港で取り扱う国際コンテナの一部のフィーダー輸送にTSLを使用することも考えられる。外貿コンテナバースからTSL専用バースヘの貨物の移動を迅速に行うことが必要である。
?.TSL普及のためのPRの推進
導入後もモーダルシフトの進展に併せ、徐々に利用が増加するものと考えられるが、早期に事業採算性の向上を図るために、PR活動の推進は不可欠である。TSLは今までにない輸送手段であり、背後圏の荷主や物流業者のみならず、輸送ルート相手先における背後圏にも積極的に働きかけていくことが必要である。
また、品目によってはセールスポイントの一つとして、TSL貨物のブランドイメージの形成を図るなどソフト面の戦略も考えておくことが望ましい。
?.企業誘致の促進
現状、松山発貨物、あるいは愛媛発着貨物のみでは充分なTSL貨物需要を確保することは困難と考えられる。このため、県内及び西四国等の周辺地域において高付加価値製品を扱う企業の立地促進を図り、松山港発着貨物の増加を図ることが有益であ

 

 

 

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